• 水道がぶっ壊れてずぶ濡れになった私の苦い思い出

    今住んでいる賃貸マンションで一人暮らしを始めてから、もう何度契約更新をしただろう。1LDKの部屋しかない単身者用のマンションなので、他の住人とはあまり関わりが少ないけれど、それでも私はこのマンションの古株の方であるのは間違いないと思う。駅まで歩いて5分、商店街のすぐそばにあるので治安もいいし、買い物も便利だ。近くには川が流れていて、その川沿いの桜並木は県外から訪れる人がいるくらい、有名で美しい。こんなに便利でわびさびまで感じられる今の住まいから、他に移る理由など見当たらない。結婚する予定もないし、特にしたいとも思わないので、きっと老人ホームに入るまでここで暮らすんじゃないかなと思う。

    そんな思い入れの詰まった今の部屋だけど、決して順風満帆というわけではなかった。同じマンションで空き巣被害に遭い警察の事情聴取を受けたこともあったし、何より私にとっての苦い思い出は、台所の水道がぶっ壊れてずぶ濡れになったことである。あの時はまだ一人暮らしを始めて間もない頃で、水道管から水があふれ出してもオロオロするしかできなかった。今同じことが起きたらすぐさま止水栓で水を止めてタオルで水を吸い取ってと冷静な対処ができるかもしれないけれど、まだ若かったあの頃の私にそれを求めるのは酷というものである。慣れない都会暮らしでホームシックになりかけていた私はその出来事によって心が折れかけ、一度は会社を辞めて実家に帰ろうと決意したものだ。結局会社に引き止められて、思いとどまることができたけれど、あの時もし実家に帰っていたら、私の人生も違うものになっていたんだろう。少なくとも今の私ほど強くはなっていなかったに違いない。

    そう考えるとあのときはショックな出来事だったけれど、今となってはほろ苦い思い出である。
    水道管にも冬じたくを(水道管の凍結予防) | 熊本市上下水道局

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